私は30代半ばを過ぎた頃、仕事のストレスからくる暴飲暴食で急激に体重が増えてしまい、SNSで見かけた「自宅でできるメディカルダイエット」という言葉に飛びついてしまいました。それが美容医療の輸入代行を利用するきっかけでした。クリニックに通う時間はなく、少しでも安く痩せたいという一心で、海外製のダイエット注射製剤を輸入代行サイトで注文しました。サイトには「100パーセント正規品保証」と書かれ、多くの成功体験談が並んでおり、私はそれを鵜呑みにしてしまいました。約2週間後、海外から届いたパッケージは少し潰れていて、中には日本語の説明書など一切なく、見慣れない外国語のラベルが貼られた小瓶が入っていました。不安はありましたが、痩せたい気持ちが勝り、ネットで見つけた動画を参考に自分で腹部に針を刺しました。しかし、数時間後から激しい吐き気と今までに経験したことのないような腹痛に襲われました。冷や汗が止まらず、その場にうずくまってしまうほどでした。翌朝になっても症状は改善せず、それどころか注射した部位が赤く腫れ上がり、熱を持っていました。怖くなって近くの皮膚科へ駆け込みましたが、医師からは「中身が不明な薬剤を勝手に使うのは自殺行為だ」と厳しく叱責されました。検査の結果、注射部位が細菌感染を起こしているだけでなく、薬剤の成分によって肝機能の数値が異常に跳ね上がっていることが判明しました。入院を余儀なくされ、点滴治療を受けながら、私は自分の愚かさを呪いました。結局、治療費だけで15万円以上がかかり、仕事も1週間以上休まなければなりませんでした。美容医療の輸入代行品は、安さの代償として私の健康と時間を奪っていきました。医師の話によれば、私が使った薬剤が本物だったのか、それとも中身を入れ替えられた偽造品だったのかは、今となっては確認する術もないそうです。また、配送中の温度管理がなされていないため、有効成分が変質して毒素に変わっていた可能性も指摘されました。退院後、私は鏡を見るたびに、腹部に残った小さな黒ずんだ跡を見て、安易な近道を選んだ自分を反省しています。美しくなりたいという願いは、正当な医療の場で行われてこそ意味があります。輸入代行というシステムは、私たち消費者の弱みに付け込み、健康を売り物にする危険な側面を持っています。もし今、かつての私のように、パソコンの画面越しに輸入代行品を注文しようとしている人がいるなら、全力で止めたいと思います。その1クリックが、取り返しのつかない悲劇の始まりになるかもしれないからです。正規の美容医療クリニックでプロの診断を受け、正しい知識と安全な薬剤で自分を磨くこと。それこそが、遠回りに見えて最も確実で幸せな道であることを、私は身をもって学びました。