美容クリニック業界の裏話

医療脱毛の主流であるレーザー脱毛ですが、実は使用されるレーザーにはいくつかの種類があり、それぞれに異なる特性を持っています。自分の肌質や毛質に最適なものを選ぶためには、これらの違いを知っておくことが非常に重要です。代表的な医療用レーザーは「アレキサンドライトレーザー」「ダイオードレーザー」「ヤグレーザー」の三つに大別されます。まず、アレキサンドライトレーザーは、数あるレーザーの中でもメラニン色素への吸収率が非常に高いという特徴を持っています。メラニン、つまり毛の黒い色によく反応するため、日本人に多い黒くて太い毛、例えばワキやVIO、男性のひげといった部位に対して、非常に高い脱毛効果を発揮します。多くのクリニックで導入実績があり、比較的歴史も長いため、信頼性の高いレーザーと言えるでしょう。ただし、メラニンへの反応が良いということは、日焼けした肌や元々の肌色が濃い方の場合、皮膚表面のメラニンにもレーザーが反応してしまい、火傷のリスクが高まるため照射できないことがあります。次に、ダイオードレーザーは、アレキサンドライトとヤグの中間の波長のレーザーです。幅広い毛質や肌質に対応できるバランスの良さが魅力で、濃い毛から産毛まで効果が期待できます。最近では、低出力のレーザーを高速で連続照射し、毛包全体にじわじわと熱を蓄積させて脱毛効果を得る「蓄熱式」という方式の機器も増えてきました。この方式は、従来の高出力で一点を狙う方式に比べて痛みが少なく、肌への負担も軽減されるため、痛みに弱い方や敏感肌の方にも選ばれています。最後に、ヤグレーザーは、三種類の中で最も波長が長く、レーザー光が皮膚の深い層まで到達します。そのため、男性のひげのように根が深い毛や、他のレーザーでは届きにくかった毛にも効果的にアプローチできます。また、メラニンへの吸収率が比較的低いため、色黒の肌や日焼け肌でも安全に照射できる点が最大のメリットです。ただし、その分、痛みは三種類の中で最も強く感じる傾向があります。このように、それぞれのレーザーに一長一短があるため、自分の状態に合わせて最適な機器を提案してくれるクリニックを選ぶことが肝心です。