-
複合治療で挑む頑固なニキビ跡の改善例
一口にニキビ跡と言っても、その症状は患者様ごとに千差万別です。特に、色素沈着とクレーター状の凹みが混在しているような複雑で頑固なニキビ跡に対しては、単一の治療法だけでは満足のいく結果を得ることが難しい場合があります。そのようなケースにおいて、美容医療の現場では、異なるアプローチを組み合わせる複合治療、すなわちコンビネーションセラピーが非常に有効な戦略となります。ここでは、ある架空の患者様の事例を通して、複合治療がどのようにニキビ跡を改善していくのかを見ていきましょう。患者様は20代後半の男性で、長年にわたり頬全体に広がる深いクレーターと、茶色い色素沈着に悩んでいました。カウンセリングの結果、彼のニキビ跡は、真皮層の組織が破壊されたことによる萎縮性瘢痕と、炎症後色素沈着が混在した状態であると診断されました。この複雑な症状に対し、我々は三段階に分けた複合治療プランを提案しました。第一段階の目標は、最も目立つクレーターの凹みを浅くすることです。そのために選択されたのが、サブシジョンという治療法です。これは、特殊な針を皮膚の下に挿入し、クレーターの底で癒着している硬い線維組織を切り離す手技です。癒着が剥がれることで、凹んでいた皮膚が持ち上がり、クレーターが物理的に浅くなります。この施術をまず2回行い、大きな凹凸の改善を図りました。第二段階では、肌全体の質感を向上させ、コラーゲンの再構築を促すことを目的としました。ここで登場するのが、ポテンツァです。マイクロニードルで肌に微細な穴を開けながら、針先から高周波を照射することで、真皮層に熱エネルギーを与え、強力なコラーゲン生成を促します。サブシジョンによって持ち上がった肌の土台を、内側から再構築し、より滑らかでハリのある状態へと導いていきます。これを月に一度のペースで3回実施しました。そして最終段階では、残っている色素沈着と、肌表面の細かな凹凸の改善に取り組みます。ここで用いたのが、ピコフラクショナルレーザーです。ピコレーザーをフラクショナル状に照射することで、衝撃波によって表皮の下に微小な空洞を作り、コラーゲンの増生を促すと同時に、メラニン色素を破壊していきます。肌のターンオーバーを正常化させ、色ムラのない均一な肌トーンへと整えていくのです。